“年末にあたって”
2021年もコロナ禍に振り回される
2021年も間もなく終わろうとしているが、今年もコロナ禍が続いた。2020年1月から始まったCOVID-19(コロナ禍)は、感染増→緊急事態宣言(自粛)→収束・規制緩和→感染増→緊急事態宣言(自粛)→ …を繰り返してきた。2021年12月現在は第5波が収まり経済を回し始めた時期に当たっている。忘新年会や年末年始の移動時期にコロナ化が沈静化しているのは喜ばしいが、次の変異株の脅威も目の前に迫っている。複数の国からの入国者または帰国者から変異株のオミクロン株が発見されているのは、世界的に感染が拡大しているからだろう。
日本のコロナ対策
幸い日本は、欧米に比べワクチン接種時期が遅かったので、まだまだ抗体が残っている人が多いのかもしれない。日本人は清潔好きだ。こまめに手を洗い消毒もする。加えて、空気を読んで他人と同じことをするいわゆる同調圧力もあり欧米に比べマスク着用率が高い。同調圧力は、コロナの感染拡大防止という意味ではプラスに働いた。ワクチン接種も急速に進み、9月末の緊急事態宣言解除から80日以上経過した今も新規感染者数は非常に少ない。ワクチン接種が遅かった分、抗体がある程度残っているのかもしれない。新たな変異株が国内に入ってきた今、できるだけ市中感染数を抑えて、その間に第3回目の接種を進めるのが妥当な対策なのだろう。ワクチンは高い確率で感染や重症化を防げる。
ワクチン開発の面では、日本の医薬品研究機関の新薬開発能力の低さも露見した。バブル以降、製薬会社はどんどん外国の製薬大手に吸収合併されてしまったし、リストラで人材もお金もないんだろうなと同情はするが。これは日本全体に言えることだが、人件費を含めた経費を節減することに腐心して将来の成長分野に投資しなかった”つけ”が回ってきたのだろう。
コロナ禍の収束はいつになるか
コロナ禍がいつまで続くかは誰にも分からないが、収束しなかった感染症はない。抗原抗体反応は優れたシステムで、たくさんウィルスを浴びれば、抗体が作られウィルスを攻撃する。不幸にして亡くなった方はたくさんいることは残念なことであるが、多くの人が感染して免疫を獲得すれば変異種が出来ても重症化しにくくなる。世界中の大多数が免疫を獲得すれば事態はやがて収束するだろう。第1次世界大戦のころ猛威を奮ったスペイン風邪は約1年で収束している。そののときと大きく違うのは、多くの人々が世界中を自由に行き来できるということだ。世界のどこかで流行が起これば、あっという間に世界中に拡散する。変異株が次々に生まれ、その存在が知られる頃には感染はかなり広がっている。世界的な人流とワクチン接種の地域的偏りが次々に変異株を生む土壌となっているともいわれる。
次なるパンデミックに備える
いくら医学が進歩しても、このようなパンデミックは起こる。なにが起こってもなんとかできるという人間の過信に警鐘を鳴らしたのがコロナ禍だったのかもしれない。反面驚くのが、ワクチン開発のスピードだった。ウィルスのスパイクたんぱく質(ウィルスのとげとげ、人間の細胞と結合して感染させる)の設計図を注射して体内でスパイクたんぱく質を作らせることで、それを攻撃する抗体を作らせるmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを開発したのが画期的なことらしい。分からないような分からないようなだが、これなら、人間の体内でウィルスのたんぱく質を合成するのだから、幅広いウィルスに短時間で対応できるのかなという気がする。
コロナ禍を総括できる日はまだまだ先になるだろう。収束後は、ウィルスの科学的な分析だけでなく、これぼどの長期間脅威にさらされたのはなぜか、次にまたパンデミックが起きたときのためにどういう準備をしておいたらいいのかを検証してほしい。先進国はこぞってワクチンを囲い込んだ。貧しい国は医療体制もワクチン接種体制も不十分で、情報も不足していた。世界中の人が一斉に抗体を持たないと次々に変異種が生まれるらしい。結局、ワクチンの製造特許の放棄は出来なかった。膨大な開発費がかかるのだから、それは仕方ないと思う。ただ、今回のパンデミックはワクチンを開発できた製薬会社にとってコロナ禍は降ってわいた幸運だともいえる。その裏にはたくさんの犠牲者がいた。今回の利益の一部をWHOなどの基金として、次のパンデミックに備えることができたら、少しは進歩できる気がするのだが。


